料理に欠かせない食塩の効果
食塩を使うコツ
食塩(塩化ナトリウム)は、料理に塩味をつけるだけではなく、様々な働きをしています。
食塩を上手に使うコツは、
はじめに加えるときは、レシピの分量よりも少なめに加える
ちゃんと溶けてから味見をする
ことです。
食塩は分子量が小さいため、味が料理に浸透する早さは、調味料の中で最も早くなります。
ところが、食塩は溶解度が低いため、塩を加えても溶けないうちに味を見て、薄く感じてしまい、思ったよりも多く食塩を加えてしまうことがあります。
食塩が十分に溶ける、きちんと材料に混ざってから味をみるようにしましょう。
食塩の効果
味がまろやかになる
酸味や甘みが加わると、塩味がまろやかになります。
例)塩をした焼き魚ににレモンなどの酸味のある柑橘類があしらわれているなど。
味を引き立てる
だし汁に塩味をつけるとうま味が引き立ちます。
味の対比効果
お汁粉に塩を加えると甘みがより強く引き出されます。
あんこをつくるときも塩を少量加えます。
夏には、すいかに食塩をかけて食べることがありますが、これも味の対比効果です。
防腐作用
細菌は15%~20%の食塩濃度では繁殖できません。
高い濃度で食塩を使用することで微生物が成育するのを阻害するため、保存性が高まります。
例)生ハムや塩辛など。
浸透圧による脱水作用
漬物をつくるときに、野菜などの材料に塩をすることで、
野菜の細胞内の水分を浸透圧により脱水させます。
おかげで、味は濃縮され、漬物ならではのテクスチャーを得ることができます。
また、魚の場合、魚の表面に食塩をふることで、
浸透圧により魚から水分が出てきます。
これは、水分と一緒に魚の生臭みを取ることを目的としているためです。
熱で固まるのを促進
茶碗蒸しは、卵液をゲル化(凝固)させてつくります。
茶碗蒸しをつくる際、だし汁や調味料を加えることで、
含まれている食塩が卵液の熱凝固を促進させます。
食塩を加えることで、安定したゲルになります。
肉の保水性の向上
ひき肉に塩を加えてこねると、
肉のたんぱく質成分が溶け出し、熱を加えたときに脂肪と水を抱え込むため、
保水性が増してやわらかく仕上がります。
ハンバーグなどをつくるときに、塩を加えてからこねるのは、このためです。
グルテン形成を促進
食塩には、グルテンの「コシ」を強くする働きが知られています。
クロロフィルの褐色防止
ほうれん草などをゆでるときに、ゆで湯に食塩を加えることにより、緑色が鮮やかに茹であがります。
これは、食塩中のナトリウムイオンが、ほうれん草などのクロロフィルのマグネシウムイオンと置換して、緑色を安定させるためです。
酵素作用の抑制
ポリフェノール類は、皮をむく、切る、すりおろす、などの操作で空気に触れ、
酸化酵素により酸化され、色が褐色に変化する原因となります。
例)りんごを切ってそのまま放置しておくと、茶色くなります。
この変化を防ぐには、水につけてポリフェノールと酵素を水中に溶出さたり、
酸素との接触を少なくさせます。
それに加えて、水に食塩を加えると酵素を失活させることができます。
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参考・引用文献
新調理学 光生館