塩の製造方法~採鹹(さいかん)編~

塩には、いろいろな種類がありその違いは、
原料、採取場所、製造工程、製造法によって変わります。

粗塩

海塩の製造方法の中でも、今回は「採鹹(さいかん)」についてご紹介します。

海塩の製造方法


海塩の製造工程をざっくり説明すると、

① 海水を濃縮させて、濃い塩水をつくる。【採鹹(さいかん)】

② 濃い塩水から塩を結晶化させる。【煎熬(せんごう)】

というものになります。

①の濃縮させる工程や②の結晶化させる工程に様々なやり方があります。

採鹹(さいかん)

日本式塩田(揚浜式、入浜式等)

能登半島塩田

海水を濃縮させるために、主に日本で用いられた様式でです。
塩田に海水を取り込み、濃縮させる方法。

たいへんな手間がかかり、天候に大きく左右されるため、現在では数少ない小規模の塩田で生産が行われています。


枝条架

枝状架塩田

竹枝をつるして立体的に組上げ、上部から海水を流下循環させて蒸発させることで濃い塩水をとります。

太陽と主に風力を利用して水分を蒸発させて濃い塩水をとります。

逆浸透膜法

真水だけが透過する膜の筒に圧力をかけた海水を流すと、真水と濃い海水が分かれて排出される方法。

元の海水の2 倍程度(塩分5~6%)に濃縮することができます。

イオン交換膜法

電気を流した時に塩分だけを透過する膜を使い、
海水の塩分を約6倍(塩分約18%)に濃縮する方法のことで、現代では多く用いられている方法。

イオン交換膜法の仕組み

塩はナトリウムイオン(Na+)と塩素イオン(Cl-)に分かれて海水に溶けています。

この性質を利用して、水槽の中に海水を入れ、プラスイオンだけを通す陽イオン交換膜とマイナスイオンだけを通す陰イオン交換膜を交互に入れて、両端にはそれぞれ、プラスの電極とマイナスの電極を置きます。

そこへ電気を流すと、ナトリウムイオンはマイナス極に移動して陽イオン交換膜を通り抜けますが、陰イオン交換膜は通ることができません。

同様に塩素イオンはプラス極に移動しますが、陰イオン交換膜を通ることができません。

それぞれのイオン交換膜の間に、濃い塩水が集まる場所が1つおきにできる仕組みです。

このイオン交換膜は、重金属や有害物質のような大きい物質の通り抜けはできず、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどのイオンは通ることができます。

塩をつくるために電気のエネルギーを使用することになりますが、広大な塩田に比べて場所は少なくて済み、天候に左右されないため、安定してかん水(濃い塩水)を製造することができるという特徴があります。

海の水を煮詰めたら塩になるけれど・・・

海の水を煮詰めたら、水分が蒸発して、塩の結晶が残りますが、煮詰めるのにとても燃料がかかります。燃料=お金がかかるということになります。

そこで、上記のように太陽の熱や風力を使ったり、電気(イオン交換法)を使って(煮詰めるよりも遙かに安価)、海水をいったん濃縮させてかん水(濃い塩水)にしています。

鍋に海水を入れて、火にかけて安く塩をつくることができるのであれば、このような手間をする必要はないんですよねー。




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参考・引用文献
素材よろこぶ調味料の便利帳 高橋書店