料理上手への道 みりんの使い方
普段のお料理にみりんは使っていますか?
そして、どうしてみりんを使うのかご存じでしょうか?
砂糖じゃダメなの?
砂糖+お酒では、代用にならないの?
みりんは何のために加える?
みりんは、砂糖同様、甘みを出すために用いられます。
しかし、みりんの役割はそれだけではありません。
みりんは、照り、風味、コク、砂糖とは違った優しい甘みがあり、臭みを消すという役割があります。
照りやコクは、砂糖でも、なんとか代用できますが、
優しい甘みは、米と米麹を発酵させてつくられるみりんならではといえます。
みりんの効果
コクとうまみ
みりんには糖類の他、アミノ酸や有機酸が含まれていて、これらのうま味や酸味が風味の幅を広げます。
みりんに含まれるアルコールは、素材に浸透しやすく、アルコールが浸透するときには、他の調味料や素材の味も一緒に引き込みます。アルコール分は熱で蒸発し、うま味だけが残ります。
香りと臭い消し
加熱によってアルコール分が蒸発するとき、素材の生臭みの成分を抱き込み蒸発します。
また、みりんを製造するときに生じたみりん特有の成分も臭い消しに効果があります。
煮くずれ防止
素材にアルコールが浸透することにより、素材の身(組織)が締まります。
上品で優しく、複雑な甘み
砂糖に含まれる糖分の種類は、ショ糖(スクロース)のみですが、みりんには、ブドウ糖(グルコース)、イソマルトース、オリゴ糖などが含まれています。
みりんはいつ加える?
みりんを加える目的のひとつが、「甘みを出すため」でした。
それでは、「さ・し・す・せ・そ」 の順番通り、砂糖と同じように最初に加えるといいのでしょうか?というと、そうではありません。
みりんにはアルコールが含まれているため、たんぱく質を固める働きがあります。
そのため、初めに入れると肉や野菜に含まれるたんぱく質が締まり、味がしみ込みにくくなります。
素材に味をしみこませたい、素材をやわらかく仕上げたい、照りを出したいときは、最後に加えるのが、正しい使い方です。
しかし、煮くずれに気をつけたい料理のときは、先に加えます。
煮魚など、先に加えることで、魚の身が締まり、煮くずれを起こしにくくなります。また、生臭みも消す効果もあるので、煮魚のときは、やっぱり最初です。
結論
煮くずれをさせたくないときは、先に加える。
味をしみ込み易くさせたいとき、照りを出したいときは最後に加える。
煮きりみりんて何?
煮きりみりんとは、本みりんのアルコール分をとばすことです。
料理にみりんの甘みや風味だけを加えたいときに用いられます。
煮きることでみりん自体も濃縮されて、甘みや香りも増します。
和え物や生もののたれなど、加熱しない料理に使います。
家庭で煮きりみりんにしたいときは、鍋に本みりんを入れて、弱火で静かにアルコール臭を消したり、本みりんとそれ以外の調味料も合わせて火にかけ、加熱する、などの方法があります。
本みりんの種類、みりんの仲間(みりん風味調味料)
本みりん
もち米、米麹、焼酎などのアルコールを原料とする。アルコール分は14%前後。
伝統的製法
原料にもち米を使用し、和釜で蒸煮して、麹を加えた後で、みりん本来の製法でである乙類焼酎(米焼酎)を加えて、みりんもろみを仕込みます。
このみりんもろみを長期糖化熟成して作られます。醸造、熟成期間は工業的製法に比べ、長くかかります。
工業的製法
圧力を加えて蒸煮したり、高温液化という化学的処理をすることで、短期間でみりんに仕上げる製法です。
使用される焼酎もホワイトリカーなどの甲類焼酎を用います。醸造、熟成期間は40日から60日ほどです。
みりん風味調味料
ブドウ糖、水あめにうま味調味料、香料を加えて、本みりんに似せた甘味料。アルコール分は1%未満。
発酵調味料
もち米、米麹、アルコールを発酵させ、塩を加えたもの。
オススメは伝統的製法の本みりん
冒頭の疑問の答えですが・・・
砂糖じゃダメなの?
⇒砂糖に含まれる糖分の種類は、ショ糖(スクロース)のみですが、みりんには、ブドウ糖(グルコース)、イソマルトース、オリゴ糖などが含まれています。
砂糖+お酒では、代用にならないの?
⇒みりんには糖類の他、アミノ酸や有機酸が含まれていて、これらのうま味や酸味が風味の幅を広げます。
料理日和で使用しているみりん
(株)角谷文治郎商店の有機三州味醂
醸造、熟成期間は、2年の伝統的製法でつくられた本みりんです。
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参考・引用文献
素材よろこぶ調味料の便利帳 高橋書店