余ったパンの保存方法
パン屋さんに行くと
欲しいパンだらけ、でもそんなに買っても食べきれない。
ううー、どうしようと思っていたら・・・
「余ったら冷凍しちゃうのよ~」という声が聞こえてきました。
そうか、その手があったのね。
パンの保存には冷蔵よりも冷凍が適しますが、その理由はご存知でしょうか~?
デンプンの老化
焼きたてのパンはやわらかく、ふわふわとしています。
パンの生地である小麦粉に含まれるデンプンが糊化(水を吸って膨潤)して、
やわらかく消化しやすい形になっているためです。
しかし、パンを食べずにそのまま部屋の中に放置しておくと、
だんだんパサパサになってきますし、かたくなってきます。
これは、せっかく糊化したデンプンが
糊化する前の状態に戻ろうとするデンプンの性質によるものなんです。
糊化によってデンプン粒に含まれていた水分が
糊化する前に戻ろうとする力に押し出され離水してしまう現象です。
デンプンの老化(β化)といいます。
デンプンの老化には水分や温度、糊化の状態が関係します。
デンプンの老化に影響を与えるもの
水分
ちなみに水分が30~60%でもっとも老化しやすく、
10~15%以下や60%以上など、水分が多いと老化しにくくなります。
食べものの例でいうと・・・
ご飯(精白米めし水分60%)、パン(食パン38%)、
麺類(生うどん33.5%、生ラーメン33.0%、生パスタ42%、生蕎麦33.0%)
ケーキ(スポンジケーキ32.0%)は老化しやすい水分の範囲に入っています。
せんべい(しょうゆせんべい5.9%)、クッキー(ソフトビスケット3.2%)、
リーフパイ(2.5%)などは、水分が少ないため、デンプンは老化しにくい食品です。
スポンジケーキは傷みやすくて、
クッキーは傷みにくいのは
なんとなく感覚や経験でわかっていることですが、
デンプンの老化という性質がからんでいたんですねー。
温度
0~5℃付近では老化しやすく、60℃以上だと老化しにくくなります。
老化しやすい0~5℃付近というと冷蔵庫内の温度です。
冷蔵庫に入れたごはんが、かちかちになってしまうのは、デンプンの老化のせいでした。
一方、炊飯器の保温の温度は、約70℃なので、老化防止になっています。
その他
砂糖は親水性があり、デンプンを老化させるのを遅らせます。
ジャムや羊羹は、どちらも室温である程度の時間、保存しておくことができます。
ジャムや羊羹をつくるときにたくさんの砂糖を使用します。
砂糖はデンプンの老化を遅らせてくれる性質があるため、
時間がたっても変わりなく美味しく食べられるというわけです。
老化しやすいデンプンの種類
緑豆デンプンやコーンスターチは、片栗粉に比べてデンプンの老化が早いという性質があります。
パンの保存には冷凍庫
デンプンの老化により離水しようとする水分を凍らせること、
冷蔵庫内の温度とパンの水分は、デンプンの老化を促進する条件であることを考えると、
パンの保存には冷凍庫がオススメなんですね。
1枚、または1カットずつラップに包み、冷凍保存用のビニール袋に入れて保存しましょう。
食べるときは、ラップをはがして
アルミホイルに包みオーブントースターに入れれば、
そのまま解凍とトーストができます。
もちろん、室温や冷蔵庫内で解凍してから、トーストすることもできます。
表面がかたくなっている場合は、霧吹きなどで水分をかけるのもオススメですよ。
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参考・引用文献
新調理学 光生館
お菓子「こつ」の化学 柴田書店
日本食品標準成分表2015年版(七訂)