栄養事典 ミネラル編 ナトリウム
学校給食はバランスがいい!?
でも実は・・・
学校給食基準の改正
学校給食の栄養素の摂取量は、文部科学省が「学校給食摂取基準」として定められています。
2018年8月1日に、この「学校給食摂取基準」が改正されました。
この改正は、
厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準2015年版(食事摂取基準)」を参考としていること、
「食事摂取基準を用いた食生活改善に資するエビデンスの構築に関する研究(食事状況調査)」、
この食事状況調査の調査結果より算出した小学3年、5年生、及び中学2年生が昼食である学校給食において摂取することが期待される栄養量(昼食必要摂取量)
などの結果をもとにしています。
つまり、学校給食摂取基準は、日本人の食事摂取基準に基づいています。
子どものときから生活習慣病予防の習慣を!
日本人の食事摂取基準は、生活習慣病の発症と重症化の予防を重視しており、ということは、学校給食でも、生活習慣病の予防を踏まえていると考えられます。
注目すべきポイントとしては、ナトリウム(食塩相当量)
塩分をとりすぎると生活習慣病になりやすい
塩分をたくさんとることで、慢性的に血圧が高くなり、高血圧の原因となります。
脳卒中も心疾患も高血圧が原因になることで引き起こされることがとても多いです。
そのために、減塩、適塩が必要になります。
給食の食塩相当量の基準(札幌市)
札幌市の給食1食分の食塩相当量(塩分量)の基準は、下記の様に定められました。
小学校低学年 2g未満
小学校中学年 2g未満
小学校高学年 2.5g未満
中学生 2.5g未満
特別支援学校高等部 2.5g未満
しかし、この塩分量、実は・・・もっともっと少ない基準になるところでした!
昼食必要摂取量の調査
学校給食摂取基準の見直しのため、学校給食では、どのくらいの栄養量を基準にするのかを決めるための調査が行われました(昼食必要摂取量の調査)。
方法としては、小3、小5、中2の各家庭での、給食以外の1日(朝食、夕食、間食)の食事状況を調査し、栄養量を算出、食事摂取基準で定められている栄養量から差し引くことで、学校給食に必要な栄養量を算出しました。
すると、なんということでしょう。。。。
昼食以外の食事で、1日の塩分量をほとんどとっていたことが判明!
給食で使える塩分は、
小学校3年生、小学校5年生では、0.1g
中学2年生では、0.2g
だったんです!
しかし、この塩分量では、料理に味付けをすることもできず、
麺類やパンもダメ、ハムなどの加工品も使えないことになります。
現実的ではないので、
小学校低学年 2g未満
小学校中学年 2g未満
小学校高学年 2.5g未満
中学生 2.5g未満
特別支援学校高等部 2.5g未満
上記の量になったんですね~。
家族みんなで減塩しよう!
だから、家庭でも減塩をする必要があるんです。
学校給食は国の食事摂取基準に沿っていますし、バランスのよい食事がとれます。
給食1食に含まれる塩分の量は、決して多くありません。
それ以外でとっている塩分が多いのです。
「血圧高いから、しょうゆかけちゃダメだよ」って、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さんに言う前に、みんなが同じ心がけをしたいものです。
食塩相当量の目安と目標
中学生以上であれば、男性は1日に9mg以下、女性は7.5mg以下を目標にしましょう。
下記は、日本人の食事摂取基準2015年版の
ナトリウムの食事摂取基準(mg/日、( )は食塩相当量[g/日])です。
塩分を多く摂り過ぎない工夫
みそ汁などの汁ものは、昆布やかつお節でだしをとる
昆布やかつお節のうまみ成分で、みそなどの調味料の量を減らせます
具だくさんのみそ汁にして、汁の量を減らす
具の量を増やして、汁の量を減らせば塩分量も減ります
具材になるいも類、きのこ類、野菜類は食物繊維やカリウムが多くふくまれているため高血圧の予防効果が期待できます
麺類の汁は残す
麺類に含まれる塩分は、麺そのものに含まれる塩分とめんつゆ(汁)に含まれる塩分があります
汁を全部飲むと4g近い塩分をとることになります
ラーメンは、麺と具だけでも2gの塩分をとることになります
麺類を食べる回数を減らす
上記の通り、麺類は塩分が多い料理です
レモンなどの柑橘類の味や酢の風味を利用する
レモンやお酢の酸味で、塩が減らせます
カレー粉などの香辛料の辛みを利用する
スパイス類の味や香りで、食塩が少ない量でも気になりません
レトルトやインスタント食品を減らして手作りを心がける
手作りにすると自然と意識できて塩分が減らせます
味を美味しくするために食塩を多くしようしている商品が多いです
味をみる前にしょうゆをかけない
なんとなくいつもお醤油をかけているから・・・という理由でしょうゆをかけるのはやめましょう
一口食べてみて、大丈夫そうならば、かけない、少なくかけるなどしましょう
加工食品に含まれている塩分を確認する習慣を持つ
手作りの良さはわかっていても、レトルトやインスタント食品は便利なので利用したくなります
普段から塩分の少ない商品をしっておくことや塩分が濃いものを食べたときは、次の食事で気をつけるなどの工夫ができます
献立の中でメリハリをつける
薄味ばかりでは、物足りなく、食事が楽しくないのは寂しいです
メインは少し濃いめの味付けにしたので、副菜は野菜たっぷりの薄味にできるとバランスもとれやすくなります
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料理をするのが楽しくなり、家庭的で季節や行事にこだわってつくられる料理のレシピや食に関わる情報を提供しています。マンツーマンレッスンを中心に少人数制でレッスンをしていますので、初心者さんも安心してご参加いただけます。
若干、北海道目線で記しておりますので、一般的で無い食材や目安の分量なども存在するかもしれません。
今後ともお読みいただいたり、何かのお役に立てますと嬉しいです。
参考・引用文献
日本人の食事摂取基準 第一出版
最新栄養学 第10版 建帛社
文部科学省学校給食実施基準施行通知
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/__icsFiles/afieldfile/2018/08/07/1407704_001.pdf
札幌市公式ホームページ(http://www.city.sapporo.jp/ )