寒天の特徴
寒天は海藻が原料なので、カロリーがなくて、食物繊維が豊富でヘルシーなイメージがありますね。
最近では、健康食品としても注目されていますし、食物繊維のおかげで整腸効果があり、様々な病気に対しての予防効果が期待されています。
寒天の特徴をご紹介します!
まずは、参考までにゼラチンと寒天の違いや特徴を確認しておきましょう。
ゼラチンと寒天
寒天の特徴
寒天のゾル化とゲル化
寒天を水にひたして吸水、ふやかしたら、火にかけて溶かします。
棒寒天は1時間で20倍、粉寒天は5分~10分で約10倍程度になります。
90℃以上に加熱すると寒天は溶けますが、実際は沸騰させながら煮溶かします。
寒天濃度が2%以上になると溶けにくくなります。
0.5%~2%の寒天濃度の場合、28℃~35℃でかたまります。
ちょっと暑い室温でもかたまるんですよね。
寒天の濃度が高いほど、温度が高くてもかたまり、再度、85℃以上に加熱すると溶けます。
しかし、寒天でかためたもの(ゲル化したもの)を
室温に放置しても溶けはしませんが、そのまま置いておくと徐々に離漿(りしょう)してきます。
ゼラチンでかためたゼリーとの大きな違いです。
ゼラチンはゼリーごと溶けますが、寒天は、水がしみ出てくるという感じです。
寒天ゲルの特徴としては、
寒天の濃度が低い
保存温度が高い
型から出したあとの放置時間が長い
ほど、離漿が多くなります。
その他の特徴
寒天はかたくてもろいゲルで、ゼラチンのゲルとの大きな違いのひとつです。
ゲルの接着性が低いため、2層ゼリーにしたい場合、
上手くやらないと、上の層と下の層が接着してくれません。
下の層の寒天液がかたまっておらず、半流動状態で表面がゲル化したら
高い温度(85℃前後)に保ったままの上の層の寒天液を流し入れることで
接着しやすくなります。
ところてんと棒寒天と糸寒天と粉寒天
寒天は、テングサやオゴノリなど紅藻類という海藻からできています。
この海藻を煮溶かして、寒天質を溶出させ、濾過、冷却して、ゲル化したものを
ところてんといいます。
さらに、冬の寒冷な気候を利用して凍結脱水、乾燥させたものを天然寒天といい、
棒寒天や糸寒天ができあがります。
粉寒天を詳しく!
一方、粉寒天は、工場で圧搾脱水、乾燥してつくられます。
粉寒天は、アルカリ処理をしたオゴノリを煮溶かし、
精密濾過し、圧搾脱水、粉砕してできあがります。
この精密濾過という工程のおかげで、
濁りが取り除かれるため、透明度の高い寒天になります。
また、圧搾脱水という工程では、
ゲル化する力が強いアガロースという物質の割合が増えるため
ゼリー強度が強くなります。
通常のゼリーの場合、
棒寒天は1%、糸寒天は0.8%~0.9%、粉寒天は0.5%使用すると
ほぼ同じかたさになります。
棒寒天や糸寒天は、水につけてやわらかくして、絞った後の重さです。
商品によっては、違いもあるので確認しましょう。
ゼラチンの他の材料の関係
砂糖
砂糖を寒天液に加える場合は、寒天が完全に溶けてから加えます。
砂糖の濃度が高いと、かたまる温度は高くなりますが、
弾力があって、かたく、透明なゲルになります。
砂糖が多いと透明になりますが、
砂糖を加えていないみつ豆の寒天は透明ではなく、濁っていますよね~!
また、砂糖の保水性のおかげで、離漿が抑えられます。
果汁
寒天は海藻が原料の多糖類です。
そのため果汁に含まれる有機酸を加えて加熱すると、加水分解されてしまい、
凝固性が低下し、ゲルがやわらかくなります。
果汁を加える場合は、加水分解されないように、
50℃~60℃に冷ましてから加えましょう。
ちなみに、pH4.5以下では、ゲルがやわらかくなり、
pH3以下になるとゲルは形成されません。
牛乳
牛乳と寒天といえば、牛乳かん。
牛乳には、離漿を少なくする働きがあります。
また、牛乳に含まれる、脂質とたんぱく質には
ゲルを阻害する働きがあるため、ゲルがやわらかくなります。
その他の材料
水羊羹の餡は、寒天液と比重が異なりますが、
比重が異なるものを混ぜ合わせるとゲルを形成する力は低くなるため、
やわらかいゲルになります。
寒天液の粘性は40℃付近で粘性を増すため、
このときに混ぜ合わせると分離せず、均一に凝固します。
寒天液と副材料の比重と粘度を同程度にすることで、分離しにくくなります。
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参考・引用文献
お菓子「こつ」の化学 柴田書店
新調理学 光生館