料理に役立つ牛乳の特徴 後編
多様な調理性を持つ牛乳。
その特徴を知ることで、料理に幅広く使うことができます。
前編では、
料理の色を白くする
臭みを消す
ふわふわに泡立つ
をご紹介しました。
今回は後編です。
調理における牛乳の特徴
温めると膜ができる
牛乳を攪拌せずに温めたり、電子レンジでチンしたあとに見ると、膜が浮いていることがあります。
これを「ラムスデン現象」といいます。
加熱された牛乳の表面から水分が蒸発し、空気に触れている表面のたんぱく質が変性することにより、膜状にかたまります。
また、牛乳に含まれる脂肪球も表面に上がってくるため、この変性したたんぱく質とくっつくきます。
一回できたこの膜を取り除いても、再び加熱を続けていると同じように膜がまたできてしまいます。
膜をつくりたくない場合は、かき混ぜながら加熱しましょう。
できてしまった膜は、かき混ぜても冷やしても溶けて無くなったりしません。
焼き色をつける
牛乳に含まれる乳糖とたんぱく質の影響で、熱を加えると褐色に色づくメイラード反応が期待できます。
パンやスコーンなどの焼き菓子の上に牛乳を塗るのはそのためです。
ゲルのかたさがかわる
ゼラチンゲルをつくる場合、牛乳を加えるとかたくなります。
牛乳量が多いほどゼリー強度は強くなります。牛乳中に含まれる塩類が影響しているためです。
寒天の場合は、牛乳を加えることで、ゼリー強度は弱くなります。
牛乳に含まれる脂肪とたんぱく質が、寒天ゲルの構造を阻害するためです。
牛乳量が多いほど弱くなります。
酸でかたまる
牛乳には、「カゼイン」というたんぱく質が、たんぱく質の80%含まれています。
カゼインはpH4.6付近でかたまるため、酸味の強いものを牛乳に加えると、牛乳中のカゼインがかたまってしまいます。
牛乳の中にレモン汁を加えると、白いかたまりができて底に沈み、ザルの上にフキンをひいて牛乳を漉すと、白いかたまりを取ることができます。
ヨーグルトやチーズはこのような方法によってつくられています。
上記の方法でつくった牛乳のかたまりをサラダにトッピングしても美味しいですよ~。
じゃがいもを煮くずれしにくくする
牛乳で煮たじゃがいもと水で煮たじゃがいもでは、牛乳で煮たじゃがいもの方が明らかにかたかったという実験結果があります。
牛乳の中に含まれるカルシウムが、じゃがいもに含まれるペクチンと結びつくことで、ペクチンが溶けにくくなり、じゃがいもが煮くずれしにくくなります。
一般に、じゃがいもをゆでるゆで汁、煮汁の中に、カゼイン、カルシウム、リン酸のどれかでも含まれている場合は、水煮に比べてじゃがいもはかたくなります。
逆にじゃがいもの煮汁中に、バターや油などの油脂、乳脂肪を加えている場合、あるいは、加熱したじゃがいもに油脂が付着し75℃以上の場合は、じゃがいもは水煮や油脂が付着していないよりもやわらかくなります。
マッシュポテトをつくる場合は、ゆでたじゃがいもを熱いうちにバターを加えてつぶしたり、裏ごししてから、牛乳を加えましょう。
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参考・引用文献
お菓子「こつ」の科学 柴田書店
製菓衛生師全書 日本菓子教育センター
新調理学 光生館