栄養事典 ミネラル編 カルシウム
カルシウム

私たちの体の中に存在するカルシウムは、体重の1~2%あります。
そのうちの99%が、歯や骨に存在しています。
残りの1%は血液や筋肉、細胞に含まれていて、血液凝固、伸長、筋肉収縮、興奮作用の抑制、ホルモンの情報伝達作用などの生理機能の働きをサポートしています、
血液中に含まれるカルシウムは、一定の濃度に保たれていています。
濃度が低下すると、骨からカルシウムが溶け出し、元の濃度に戻すようになっています。
体内では、このように骨などからカルシウムを溶出する「骨吸収」と骨を新しくつくる「骨形成」がくり返し行われています。
成長期では「骨形成」が活発に行われるため骨の量が増加します。
一方で、慢性的にカルシウムの摂取量が少ないと骨の量が減少し、骨粗しょう症が起こりやすくなります。
1日にとりたいカルシウムの量
1日のカルシウムの食事摂取基準(mg)は、下記の表のとおりです。

男性は、70歳以上の方でも30歳代、40歳代と同じか、それ以上多く摂った方が良い栄養素なんです。
これは、男性の場合、若いときに比べて、吸収率が下がってくるためです。
カルシウムはとれていますか?
2017年のカルシウムの平均摂取状況は、サプリメント等を除く通常の食品で、20歳以上の男性で平均510mg/日、女性は平均508mg/日を摂取していました。
目標の量に比べると、100mgほど、少なくなっています。
カルシウムが不足すると?
カルシウムが不足してしまうと
骨粗しょう症や骨折を引き起こす可能性が高くなります。
他にも、高血圧や動脈硬化、糖尿病、肥満といった生活習慣病から免疫の異常、認知障害、軟骨の変形や関節症など、多くの病を引き起こす可能性が指摘されています。
カルシウムはどうして不足するの?
カルシウムが不足しやすい要因として、カルシウムの摂取不足とカルシウムの体内での吸収不良があります。
吸収不良は、食品の食べ合わせやカルシウムの摂取量、年齢などの原因があります。
カルシウムをとり過ぎるとどうなるの?
カルシウムのとり過ぎで起こることとして、
泌尿器系結石や便秘の他、鉄や亜鉛の吸収障害などがありますが、普段の食事で、これらの障害が発生するほどの可能性は低く、サプリメント等での摂取には気をつけましょう。
カルシウムを多くとることができる食品は?
カルシウムが多く含まれる食品は、下記の通りです。
上から1回当たりに含まれるカルシウムの多い順に並んでいます。

カルシウムの吸収
カルシウムは小腸で吸収されます。
年齢や妊娠、授乳もカルシウム吸収率に影響があるほか、食品に含まれる成分、食べ合わせ、カルシウムの摂取量によってもカルシウムの吸収率が変わります。
10歳~17歳は、40%~45%の吸収率であったのに対し、成人すると30%以下になります。
男性では、18歳から49歳までは30%であったのに対し、50歳~69歳で27%、70歳以上で25%と加齢とともに減少していきます。
女性は18歳~29歳は30%、30歳以上になると25%の吸収率です。
妊娠後期や授乳期では、カルシウムの吸収率は増加します。
カルシウムの効果的なとり方
カルシウムを効果的にとりたい場合は、1食で集中的に摂取するよりも、毎食に分けてとりましょう。
カルシウムは摂取量が多いと尿中に排泄される量が増え、カルシウムの摂取量が少ないと吸収率は上がり、尿中に排泄される量が少なくなります。
カルシウムの吸収を高める成分
カルシウムを効果的にとりたい場合は、食べ合わせに意識するのもオススメです。
カルシウムの吸収を助ける成分としては、魚やきのこ類に含まれるビタミンD、牛乳に含まれるタンパク質、かんきつ類や梅干しに含まれるクエン酸があります。
カルシウムの吸収を阻害する成分
また、せっかく摂ったカルシウムの吸収を邪魔する成分があります。
ほうれん草に含まれているシュウ酸、穀類に多いフィチン酸、食品添加物に含まれるリンなどです。
脂肪も摂り過ぎると、カルシウムの吸収を邪魔します。
食品群別の吸収率では、牛乳39.8%、小魚では32.9%、野菜では19.2%という実験結果があり、牛乳の吸収率が優れていました。
カルシウムを含むものと一緒にほうれん草を食べたからといって、カルシウムが全て台無しになるわけではありません。
骨粗しょう症予防、骨折予防に
「カルシウムを積極的に」と考えているのであれば、
まずは
・目標の量(1日に、乳製品1回~2回+納豆など大豆製品2回~3回+野菜料理を毎食)を目指すこと
・3食食べること
・きのこ類、梅干し、かんきつ類、タンパク質食品
を意識してみましょう。

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参考・引用文献
七訂食品成分表 女子栄養大学出版部
日本人の食事摂取基準 第一出版
新調理学 光生館
調理のためのベーシックデータ
最新栄養学 第10版 建帛社
日本人若年成人女性における牛乳、小魚(ワカサギ、イワシ)、野菜(コマツナ、モロヘイヤ、オカヒジキ)のカルシウム吸収率 日本栄養・食糧学会誌51:259-266,1998