栄養事典 ビタミン編 ビタミンCと料理

ビタミンCはデリケート

ビタミンCは水に溶けやすいし、熱にも弱い。そのまま保存しておいても減りやすい

また、同じ野菜でも季節や葉(しかも外葉、中葉、内葉によっても違う)と茎によっても含まれている量が違うというとってもデリケートで気難しい栄養素です。

ですが、ヒトの体内で作ることはできず、食べ物から摂取する必要があります。
コラーゲンの合成に関わるため、お肌の状態を維持するのに欠かせませんし、抗酸化作用があったり、他の栄養素の働きを助けたりと、体の中で重要な働きをたくさんしています。

料理でかわるビタミンCの量

ビタミンCの調理による残存率を下記のグラフにまとめました。

グラフⅠ 調理によるビタミンCの残存率

調理によるビタミンCの残存率

注)このグラフは、ある特定の野菜ではなく、いろいろな野菜や果物をそれぞれ測定した値の平均値です。


ビタミンCは水に溶けやすいという特徴にあるように、茹でる、煮るといった水に接する調理をすることで、食品に含まれるビタミンCは減りやすくなります。

また、ビタミンCは熱にも弱いという特徴がありますが、ミキサーや漬けるなどの加熱を伴わない調理方法、生のまま調理する方法ではビタミンCが残っている割合が多いのがわかります。


では、やはり野菜や果物は、生のまま食べた方がいいのでしょうか?

グラフⅡ ゆで時間で変わるほうれん草のビタミンCの量の割合

ゆで時間で変わるほうれん草のビタミンCの量の割合

生のときのビタミンCを100%とすると、茹で時間によりグラフⅡのような変化があります。

茹でる時間が長くなるほど、ほうれん草に含まれるビタミンCの量は、減っていってしまいます。3分茹でてしまうと、半分の量のビタミンCが無くなっていますね!

ほうれん草 茹でる

やっぱり野菜は生で食べた方が・・・よさそう・・・?

ほうれん草

グラフⅢ 置いておくだけで変わる大根おろしのビタミンCの量

大根おろしのビタミンCの量の変化

おろした直後のビタミンCを100%とすると、時間がたつにつれ、グラフⅢのような変化になりました。

2時間で半分もビタミンCが減ってしまいました。今日は焼き魚だ!と思って少し早めに用意して、冷蔵庫にいれておくことだってありますよね。

そうか!すりおろすからビタミンCが減るんだ!普通に切れば・・・、ということで~

グラフⅣ 置いておくだけで変わる大根なますのビタミンCの量

なますのビタミンCの変化

大根をせん切りにして、なます(一般的には酢と砂糖に漬ける)を作り、なますに含まれるビタミンCを測定してみると1時間後には半分の量に、次の日だと2割の量になっていました。

酢が入っているからといって、大根のビタミンCが減らないってことはありませんでした。

とにかく生で食べればいい、生なら絶対にビタミンCをたくさんとることが出来るというわけではないんですね。

生野菜以外でもたっぷりとれる!ビタミンCのとり方

加熱して食べてもOK!

野菜は茹でる、煮る、炒めるなど、生以外の調理法をすることにより「カサ」を減らすことが出来て、量をたくさん食べることが出来ます。
量を食べることができると、ビタミンCの摂取量も増えます。

また、加熱して食べるということは、消化が良くなるので、胃腸の負担が少ないですし、ビタミンCの吸収も良くなります。
せっかく食べたのに消化しなければ、ビタミンCが体の中に取り入れられることがありません。


旬を大切に!

他にも、旬の時期によりビタミンCの量も違います。

例えば、ほうれん草は、夏よりも冬の方が、トマトは冬よりも夏場がビタミンCの量が多く、価格もお手頃になります。


理想は丸ごと!

同じ野菜でも食べる部位によってもビタミンCの含有量は違います。

大根やかぶは、真ん中部分に比べて、皮や皮に近い部分のビタミンCが多いです。一方でじゃがいもは皮や皮の近くよりも内部の方が、ビタミンCは多く含まれています。

料理が面倒なら、生の果物を食べるのもいいですね。

できればできたてを

スーパーから何日か前に買ってきた野菜よりも、買ってきてすぐの野菜のほうがビタミンCなどの栄養価は高いですし、季節の野菜は値段も安くて栄養価も高いです。
できたての方が栄養は多く含まれているので、家庭で料理した、できたて、つくりたてというのは、外で食べる以上に価値があるように思います。

ビタミンCをたくさん摂るには、生で食べる以外にもイロイロと方法がありました。
デリケートなビタミンCですが、特徴を知ることで、少し付き合いやすくなり、選択肢も広がります。

食材や栄養の特徴を知ることは、料理の楽しさをもたらしてくれると思います。
料理をするときに、少し優しくなって大事にすることができるのではないかと思っています。

だけど、無理は禁物でお願いします。
家庭で料理をして食べるということは栄養を摂るという目的だけでは無いですし、ライフスタイルによっては、つくりおきの方が便利!というご家庭もあると思います。 

何よりも「栄養をとる」のではなく、「食事をとる」を料理日和はみなさまにお伝えしたいと思います。

心の栄養と心の余裕も忘れないでおきましょ。

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この記事では、料理日和がこれから料理を楽しみたい方、既に料理を楽しんでいる方のために、さらに料理が好きになり、楽しんでいただきたいと思い、食材や料理、栄養・健康などの情報を提供させていただいております。

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若干、北海道目線で記しておりますので、一般的で無い食材や目安の分量なども存在するかもしれません。

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参考・引用文献
七訂食品成分表 女子栄養大学出版部
日本人の食事摂取基準 第一出版
新調理学 光生館
調理のためのベーシックデータ 女子栄養大出版部
食品中ビタミンの調理損耗に関するレビュー(その2)(ナイアシン,パントテン酸,ビオチン,葉酸,ビタミン C). Vitamins (Japan), 91 (2), 87-112 (2017)