必須ミネラルでも食事摂取基準がない理由
必須ミネラル(ヒトの体では作り出せない、食事から摂取する必要のあるミネラル)なのに、
食事摂取基準で示されていないものがあるのをご存知でしょうか?
栄養素とは?
三大栄養素といえば、たんぱく質、脂質、炭水化物。
これらは、体のエネルギー源になる栄養素です。
五大栄養素というと、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル。
ビタミンやミネラルは、体の調子を整える働きをしてくれ、さらにミネラルは、体の構成要素にもなります。
例えば、カルシウムは骨や歯になる。鉄は赤血球のヘモグロビンの成分になります。
ミネラルとは?
少しの量で、大きな働きをしてくれるミネラルですが、
ミネラルとは、
そもそも地球に存在する118種類の元素の中でも、
水素、炭素、窒素、酸素のように、
たんぱく質や脂質、炭水化物の構成成分になっているもの以外の
114種類の元素のことをいいます。
栄養学では無機質と同様の意味で使われています。
必須ミネラルとは?
ミネラルは生命の維持に必要な栄養素ですが、
ヒトの体では作ることができず、食べ物から摂る必要があります。
その栄養素として欠かせないミネラルを「必須ミネラル」といいます。
必須ミネラルの中でも、
1日の摂取量が100mg以上のものを多量ミネラル、
100mg以下のものを微量ミネラルと分類しています。
必須ミネラルの種類と主な働き
上の表にあるように、ミネラルは、体の組織の構成成分であり、
他の栄養素の代謝には欠かせない栄養素です。
それぞれのミネラルについて、1日の食事摂取基準が定められているのですが、
表の中の赤字のイオウ、塩素、コバルトに関しては、食事摂取基準が定められていません。
※「食事摂取基準(2015年版)」とは健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持、増進や生活習慣病の予防を目的に、エネルギーおよび各栄養素の摂取量の基準を示したもの。栄養素の摂取不足によって生じるエネルギーや栄養素欠乏症の予防だけでなく、生活習慣病の発症と重症化の防止も目的としている。
食事摂取基準が示されていない理由
「必須ミネラル」なのに、食事から必ず摂取しなければならないミネラルなのに、基準がないのには、理由があります。
実は、食品中に含まれるこれら(塩素、イオウ、コバルト)の信頼できる成分値が必要になりますが、
文部科学省で公表している日本標準食品成分表にこれらの成分値が収載されていないため、
推定することができません。
さらに、これらの成分は他の物質に既に含まれていて、
単独で欠乏することはありえないため、設定する必要がないということです。
身近な食品の例として、食塩(NaCl)には、塩素が含まれます。
イオウはアミノ酸(たんぱく質)に含まれ、
コバルトはビタミンB12に含まれています。
食塩も、アミノ酸(たんぱく質)もビタミンB12も食事摂取基準が示されていますので、
ミネラルとして食事摂取基準を示す必要がないということなんですね。
ミネラルの摂取量について
ミネラルの摂取については、それぞれのバランスが大切です。
多すぎても少なすぎても、健康の保持・増進にはオススメできませんので、
サプリメントや健康食品のとりすぎには気をつけましょう。
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参考・引用文献
日本人の食事摂取基準 第一出版