栄養事典 ビタミン編 葉酸

葉酸

ほうれん草

葉酸は、ビタミンB群の一種で、ほうれん草の葉の抽出物から発見されたという逸話があります。

ヒトの体の中では、新しい赤血球をつくるために必要なほか、妊娠中のかたにとっては、胎児の発育にも重要なビタミンです。

葉酸の1日に必要な量は?

1日に必要な葉酸の量は、18歳以上で1日に240μg(マイクログラム)(0.24mg)です。

さらに、妊娠、授乳により必要量が増えるため

妊婦さんで、480μg(0.48mg)、授乳婦さんで340μg(0.34mg)

の葉酸が必要になります。

そして、妊娠を計画しているかたは、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間、

通常の食品からの葉酸に、プラス400μg(0.4mg)の葉酸をサプリメント等の栄養補助食品から摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが低くなる

ことが報告されています。

1日の上限量もあります。サプリメント等からの葉酸は1日に1000μg(1mg)以上は摂らないように気をつけましょう

食品からの葉酸とサプリメント等からの葉酸

ほうれん草などの食品に含まれる葉酸とサプリメントに含まれる葉酸とは、「型」が違い、そのため吸収率が違います。

食品に含まれる葉酸は、ほとんどが「ポリグルタミン酸型」で、サプリメントに含まれる葉酸は「モノグルタミン酸型」です。

食品に含まれる「ポリグルタミン酸型」の葉酸は、サプリメント等に含まれる葉酸と比べて、体内での利用率が低く、25%~81%と報告されています。

一緒に食べる食品によっても異なり、消化過程も異なるため、このようなばらつきがあります。

通常の日本での食事中の葉酸に対する利用率は、50%と報告されています

この利用率を踏まえて、18歳以上の葉酸の推奨量は240μgとされています。

葉酸、ちゃんと摂れている?

2017年の葉酸の平均摂取状況は、

サプリメント等を除く通常の食品で、1日の摂取量は、20歳以上の男性で平均299μg、20歳以上の女性で平均290μg摂取していました

1日に必要な量は240μgでしたので、男女とも葉酸は摂取できている様です。

同じビタミンでもビタミンCは不足しやすい栄養素でしたが、葉酸は目標の量をとることができているんですねー。

葉酸が不足してしまうと、

巨赤芽球貧血や動脈硬化の要因にもなります。

葉酸が不足しやすい原因として、通常の食事をとっている分には、あまり問題ありませんが、なんらかの治療を目的に、免疫抑制剤、抗けいれん剤、抗がん剤、血液透析などで欠乏する場合があります。

他にもアルコール中毒患者や妊娠時にも欠乏することがあります。

葉酸を摂り過ぎると、

サプリメント等に含まれる「モノグルタミン酸型」の葉酸を過剰に摂取することで、悪性貧血やビタミンB12欠乏症の診断を困難にします。

また、亜鉛の吸収が悪くなるという報告もあります。

通常の食品からは考えにくく、サプリメント等の多量摂取には、気をつけたいです。

葉酸はどんな食べ物に含まれている?

アスパラガス

葉酸が多く含まれる食品は、下表の通りです。
上から順に1回当たりの量が多い順に並んでいます。
1回当たりの量は、あくまでも目安量なので、レシピによっても使う量が変わってきます。

食品に含まれる葉酸の量

葉酸の吸収

食品に含まれている葉酸のほとんどは、「ポリグルタミン酸型」の葉酸で、糖やタンパク質と結合しています。

食品を調理したり、食べて胃の中で消化することで、糖やタンパク質が外れ、その後小腸で、コンシュガーゼという酵素により「モノグルタミン酸型」の葉酸に分解されて吸収されます。

ちなみにオレンジジュースとバナナには、このコンシューガーゼを阻害する物質が含まれているとのこと。
葉酸の吸収率を上げたい場合は、時間をずらして食べるといいかもしれません。

葉酸の効果的なとり方

葉酸は光に弱いため、日の当たる場所に置いておくと、徐々に葉酸が分解されてしまいます
ってきた野菜は冷蔵庫で保管し、すぐに調理をすることがおすすめです。

また、サプリメントからの葉酸の摂取は、吸収率も良いですし、手軽なので、効果的といえば効果的です。
健康食品といっても、いろいろありますので、「モノグルタミン酸型」なのか「ポリグルタミン酸型」なのかを確認しておくといいかもしれません。

妊娠と葉酸

妊娠を予定しない場合は、普段の葉酸摂取の推奨量は240μgで、2017年のデータによると、普段の食事から葉酸の摂取量は290μgであるため、普段の食生活の中で、難しくなく摂取することができている栄養素といえます。

葉酸の必要量のところで、

妊娠計画1ヶ月前から妊娠後3ヶ月は通常の食事からの葉酸にプラスして、サプリメント等からの葉酸を400μg摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが低くなる報告がある

ことをお伝えしました。

この葉酸400μgは、栄養補助食品やサプリメントに含まれている「モノグルタミン酸型」葉酸の投与で、リスクが低減したという研究報告であり、食品からの葉酸ではその効果を確認する研究報告は確認されていません。

ちなみに食事からで「モノグルタミン酸型」の葉酸を400μg摂ろうと思うと、800μgの葉酸を摂取しなければなりません。

そして、ここで意識したいのが、葉酸のサプリメントを摂っておけばいい、ということではありません。

栄養素はそれぞれが互いの効果を補って働いているので、何かひとつだけ多くても、他のものが不足している場合は、その効果が期待できないこともあります。

サプリメントで摂る部分はサプリメントで摂って、普段の食事も大切にしていきましょう。


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参考・引用文献
七訂食品成分表 女子栄養大学出版
日本人の食事摂取基準 第一出版
新調理学 光生館
最新栄養学 第10版 建帛社
厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf)